冷静と情熱のあいだ

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 この本は、江國香織さんが執筆した女性目線の物語と辻仁成さんが執筆した男性目線の物語があります。どちらから読んでもいいのですが、個人的には女性目線の物語から読む方がおすすめです。

 イタリアのアクセサリー店に勤めるあおいと、絵画の修復師をしている阿形順正の恋の物語です。

 すごく面白いと思ったところは、ひとつの事件、ひとつのシーンがお互いの物語から別々に見ることができるということろです。そのため、二人の心のすれ違いだったり駆け引きだったり、伝わらない気持ちなどが手に取るようにわかります。実際の世界も同じことで、私たちは本当に自分からの視点でしか物事を見られていないのだということを実感します。

 物語の展開も飽きることなく、状況が刻々と変化して最後まで楽しめます。

 江國香織さんが好きな方は、特に好きな雰囲気の本かと思います。少し憂いのある主人公だったり、湿度を感じる情景描写やオシャレな表現に満たされていて、とっぷりとその世界に浸れるかと思います。

 出版されてから少し時間がたっていますが、いつまでも色褪せない素晴らしい作品です。若い世代の方にも読んでもらえたら当時からのファンとしてとても嬉しいです。